NTT東西のフレッツ(NGN)を利用していて夜間など混雑時にネットが極端に遅い場合、IPv4 over IPv6(以下、IPoE)を利用した網終端装置の迂回が有効です。接続にはMAP-E方式またはDS-lite方式に対応するルーターが必要ですが、対応ルータであっても接続できないケースが存在します。何故でしょうか?
結論としては「対応ルータに対応しない事業者もある」です。備忘録がてら纏めます。
DS-lite方式のサービスを契約するが…
深刻化するフレッツPPPoEの混雑を回避すべくtransix対応のIPoE接続プランを契約しました。これを利用するにはDS-lite方式に対応するルータが必要になりますが、NTTのホームゲートウェイ(以下、HGW)が対応しているのを事前に確認しました。これはもう移行しない理由がありません(※)。
ところが開通後はIPv6のサイト(youtubeなど)しか表示されません。どういうことでしょう?
ファームウェアが古い?
まずはファームウェアが最新か確認しますが、DS-lite方式に対応可能とあります。
ホームゲートウェイ/ひかり電話ルータ (PR-500MI,RS-500MI,RT-500MI)
Ver.07.00.0010 (2020/03/03) | IPv4 over IPv6を利用したインターネット接続におけるDS-Lite方式に対応可能となりました。 |
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プロバイダの説明は?
IPv4 over IPv6接続には、各社一貫して「DS-lite対応機器が必要」という説明です。
DS-LiteによるIPv4接続をご利用いただくには、DS-Liteに対応した通信機器をお客様ご自身でご用意いただく必要があります。
IIJmio公式サイトより
「DS-Lite機能に対応したルーター」をご利用されていない場合、「IPv4通信しか対応していないWEBサイト」を閲覧することはできません。
BB.excite公式サイトより
HGWはDS-lite方式に対応しており、かつすべての人が持っているのに何の問題が起こり得ようか想像も付きません。しかし問題はあり、しかしてトラブルは発生します。
よく読むと次のような記述が…
IIJmio
・「HGWは、DS-liteに対応していません」ん?どういうこと?(対応しているけど…
BB.excite
・「フレッツ・ジョイントを利用していないためHGWのみでは通信できません」ん?
急に出てきた、この「フレッツ・ジョイント」とは一体なんなのでしょうか。
フレッツ・ジョイント
「フレッツ・ジョイント」(※1)は、NTT西日本が設置するサーバーを複数のサービス事業者さま(以下、事業者さま)で共有し、「フレッツ 光クロス」「フレッツ 光ネクスト」「フレッツ 光ライト」(いずれもFTTHアクセスサービス)を通じて、サービス利用者さまの「ホームゲートウェイ」に対して、インターネット上のアプリケーションサービスを利用するためのソフトウェアの配信を行なう環境を事業者さま向けに提供するサービスです。
NTT西日本公式より
つまり、HGWのみで「v6プラス」などのサービスを実現する場合、プロバイダがIPv4 over IPv6のソフトウェアを用意した上で「フレッツ・ジョイント」を利用してその機能をHGWへ配信しなければならないということになります。
要するにDS-lite方式に対応する機器だけでは駄目だということです。対応してても機能が配信されてこないというわけですね。
当該プロバイダではこれらの費用を圧縮することによって月額費用を抑えているということでしょうか。この場合、transix対応ルータをHGWの手前に噛ませる必要があります。
ただしこの場合、HGWがLANの外に出てしまうためPCやスマホから「ひかり電話」にアクセスできなくなります。お客様の中に有識者がおられましたら何卒コメントお願いいたします…
おまけ。HGWの設定画面へは入れる
192.168.x.1を入力するとtransix対応ルータへ行ってしまいますが、以下から迂回できます。
仕組みとしてはパケットがtransixルータを出てHGWに達したとき、HGWが独自に名前解決して(192.168.x.1の先の)192.168.x.1へリダイレクトしてくれるというものです。
ちなみに
ntt.setupをSIPドメインとして指定してもひかり電話に到達できません。どうして…
おまけ。DS-lite(transix)の設定画面
フレッツ・ジョイントでプロバイダからソフトウェアが配信されていれば、こちらから設定へアクセスできるようです。
配信されない状態でアクセスしてもタイムアウトします。
まとめ
IPv4 over IPv6を実現するには大きく分けてMAP-E方式とDS-lite方式の2種類があり、プロバイダ各社はそれに沿った独自サービスを展開している。中にはフレッツ・ジョイント利用による機能を提供していないサービスもあるので、この場合これに代わる機能を持ったルータを別途用意する必要がある。
MAP-E方式 | DS-lite方式 | |
サービス名 | 「v6プラス」JPNE 「OCNバーチャルコネクト」NTTコム 「IPv6オプション」ビッグローブ | 「transix」MFEED 「v6コネクト」朝日ネット |
フレッツ・ジョイント 非対応プロバイダ | ー | IIJmioひかり(transix) BB.exciteコネクト(transix) |
どこかでソフトウェアを拾ってきて自前でHGWに落とし込めれば動きもしそうですが、そうは問屋が卸さないでしょうね~
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